1軍が中心の学校生活にうんざり
2軍から3軍に落ちるのが怖くて、ヒヤヒヤしながら学校を過ごすのに疲れた…
みなさんは、スクールカーストをご存じですか?
スクールカーストとは、学校内に存在する見えない格差(ヒエラルキー)のこと。
みなさんの周りでも「1軍」「2軍」「3軍」と表現したり、「派手グループ」「地味グループ」と表現されていた経験があるのではないでしょうか。
スクールカーストが存在し始めたのは、つい最近のことというわけではありません。
私自身も学生時代、スクールカーストに悩まされてきました。
そこで今回は、学生時代にスクールカースト下位で苦しんでいた私がスクールカーストに悩むあなたに知ってほしいことをお話します。
- スクールカーストにうんざりしている
- スクールカースト下位に所属している
- かつてスクールカーストに悩んでいた
- スクールカースト下位の自分はずっとこのままなのかと悲観的になっている
私も当時、スクールカーストで下位の自分は、このままずっと下位として発言権もないまま生きていくんだろうなと思っていました。
ですが、実際はそんなことありませんでした。
大人になったらわかることがたくさんあります。
スクールカーストに悩むあなたに、未来の自分がタイムスリップしてやってきたと思って聞いてほしいのです。
スクールカーストから、現在の人間関係を構築するためのヒントが得られます。一緒に見ていきましょう。
今回の記事は、鈴木翔さんの『教室内カースト』という本に私の知見を加えてお話ししています。
ご興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね。
スクールカーストとは
スクールカーストについて、もう少し詳しく確認してみましょう。
スクールカースト
「1軍」「2軍」「3軍」、「派手」「普通」「地味」など、学校内に存在する見えないヒエラルキーのこと。インドのカースト制度に倣って作られた造語
スクールカーストとは、学校内に存在する見えない階級制度のこと。
学年やクラスの中で誰が決めたわけでもない共通認識として、個人の階級が定められていきます。
一般的にスクールカーストでは、
- クラスにおける発言権や決定権を持つ上のグループ
- 上のグループに反抗できず騒いだり意見を言うことも許されない下のグループ
- そのどちらにも属さないが上のグループに従う真ん中のグループ
の3つに分けられます。
その3つを 「1軍」「2軍」「3軍」、「派手」「普通」「地味」 と表現したりします。
また、学校によってはそれぞれの階級の中にも上下があることも。
私は2軍の下だったな~。3軍に落ちないようにって行動にめちゃくちゃ気を遣っていたよ…
僕も同じあたりかな~
スクールカースト上位の生徒は、自分の意見が通るため、自分の地位を満足している場合が多い。
その一方で、発言権や決定権、地位を決める人事権などさまざまな権利を持つと同時にクラスを盛り上げる義務が備わってくるため、苦痛に感じている生徒もいるよう。
スクールカースト下位の生徒は、自分の地位にメリットを感じず、納得していないことが多いです。
グループのなかで生活することには何も苦痛を感じないが、他のグループとの関わりがある際に自尊心を傷つけられたり、居心地の悪さを感じたりします。
このようなことから、生徒たちの中では上のグループに存在することは良いことだという認識があり、上でいるために、下でありそうな友達を切り捨てたりすることもあります。
スクールカーストの問題点
そんなスクールカーストには、どのような問題があるのでしょうか。
権利に差が生じる
スクールカーストのある学級では、カースト上位の人たちがクラスを仕切ります。
ホームルームでクラス全体で話し合いを行っていても、意見が言えるのはカースト上位の生徒だけ。
文化祭での出し物、合唱コンクールの曲選択など、カースト上位の意見で決定します。
そのため、カースト下位の生徒の意見は聞いてもらえないことが多く、不満を感じていることが多いです。
勇気を出して意見を言ってみても、
「え、3軍のやつが何言ってるの?」
と、言われて終わり。
このような状況ではスクールカーストのどの位置に所属するかによって、生徒の権利に差が生じてしまいます。
私がいたクラスでは運動会にどの種目に誰が出るのか決める話し合いで、1軍の子たちが楽な競技ばかり選択してしまい、3軍のスポーツが苦手な子が長距離走やリレーにさせられていたことがあったよ。
それはひどいね
生徒の可能性を潰す
スクールカーストには、所属する部活動も関係があります。
学校によって違いがあるとは思いますが、運動部に所属する子が1軍になりやすく文化部が3軍にされやすい印象。
そのため、本当は文化部に入りたかったのに運動部に所属したり、文化部の中でもカースト下位になりにくい部活を選んでしまうことがあります。
カーストで自分の位置を守るために、自分のやりたいことを我慢してしまうことがあるのです。
本当は放送部に入りたかったんだけど、私の学校の放送部のカーストが低くて怖くて選べなかったこと、すごく後悔してる・・・。放送部の同級生が表彰されるのを見て、「私もあんな風になれたかもしれないのに」って自分の弱さを悔やんでいたよ
僕も吹奏楽部に入りたかったんだけど、吹奏楽部の男の子ってカーストがあまり高くなくて、なんとなく運動部にしちゃったんだよね
その後の人生に影響を及ぼす
学生時代にスクールカーストで身につけた考え方は、その後の人生に悪影響を及ぼします。
例えば、
- 他人を上下で判断する
- 自分のカースト位置に従って人生を送ってしまう
- 個性を出せなくなる
など。
他人をカーストの位置で判断し、カースト下位にいそうな人を無下に扱うようになったり。
「自分なんてカースト下位の人間だから・・・」と自己肯定感をなくしてしまったり。
学生時代にカーストが落ちないようにみんなと同じ行動をするように気を付けていた人が、大人になってもそのクセが抜けず、他人の顔色ばかりうかがってしまったり。
みなさんや周囲の方に、こんな方いませんでしょうか?
私も変な人だって思われて3軍に落ちるのが怖かったことから、いつも人と同じ行動を取らないと!と思っていました。今でもそのクセは抜け切れていないな
近年、男女差別や人種差別など、差別が大きな社会問題となっています。
スクールカーストは差別的な考え方の元凶となります。
差別のない社会を作るためには、教育の現場から変えていく必要があるのではないでしょうか。
問題視されにくい
学校は、いじめ問題に対して非常にナーバス。
その一方で、いじめと判断されないものに関しては問題視しない傾向にあります。
スクールカーストも、その1つ。
スクールカーストでは、見えない圧力によってカースト下位の生徒が上位の生徒に従います。
そこに暴力や暴言は備わらないため、いじめとの判断はされません。
それに、学校からすれば、「下位の生徒は上位の生徒と同じ意見だから反抗しない」とみなすことができます。
毎日の業務に忙しい学校側は、スクールカーストのような見えにくい課題には取り組みにくいのです。
スクールカーストの原因
では、スクールカーストの原因は何なのでしょうか?
スクールカーストの原因となりうる、
- 閉鎖的な場所であること
- 生徒自身が受け入れてしまうこと
- 先生がカーストを利用すること
の3つをご紹介します。
閉鎖的な場所であること
カーストのような階級格差は、風通しの悪い閉鎖的な環境で生まれやすいと言われています。
一般的に中学校や高校は、1学級30人~40人ほど。
たまたま近くに住んでいる子どもや学習レベルが近い子どもたちが集められた、まさに閉塞的な空間です。
子どものときは、1日の大半を学校で過ごしていて、学校がすべてだったもんね
一方で、大学は在学人数が多く、一部を除きクラス制もありません。
大学のような解放された場所では、スクールカーストは起きにくいとされています。
生徒自身が受け入れてしまうこと
下位の子たちはどうしてカーストを受け入れてしまうの?
そう疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。
それは、自分のカーストに従って行動しないといじめられる可能性があるから。
子どもたちにとって、いじめの対象になることは絶対に避けたい。
カースト下位の生徒は上位の生徒に恐怖心を感じており、いじめのターゲットにならないように警戒しています。
一見、カースト上位の生徒はみんなから人気があって友達が多いように見えますが、実際は誰からも好かれているわけではないのです。
先生がカーストを利用すること
先生と生徒たちでは、スクールカーストへの考え方に大きな差があります。
- 生徒
スクールカースト=権力 - 先生
スクールカースト=能力
生徒がスクールカーストを権力のように考えているのに対し、先生たちはスクールカーストを能力と考えている傾向にあります。
そのため、カースト上位の生徒を「コミュニケーション能力がある」ように高評価する一方で、カースト下位の生徒を「意見を言わない」「主体性がない」と低く評価してしまいがち。
そのため、スクールカースト自体を学級運営に利用している先生もいるようです。
クラスでの話し合いはカースト上位の意見で決める方が決断が早くなりますし、カースト上位の生徒が自分に従うようにさせればクラス全体をまとめやすい。
そのように先生もスクールカーストを利用しているようなところがあります。
もちろん、先生がみんなスクールカーストを利用してるわけではありません。生徒一人一人をしっかり見てくださる先生もいますよ!
スクールカースト下位のあなたへ
スクールカーストに悩んでいる方はどうしたら良いのでしょう。
また、学生時代にスクールカーストに悩んでいた私たちは、当時何ができたのでしょうか。
カーストからはみ出た人を目指そう
スクールカーストに嫌気が差している人におすすめしたいのが、カーストからはみ出た人を目指すこと。
みなさんの周りに、カーストに縛られないクラスメイトっていませんでしたか?
カーストの上位にも下位にもいなく、どの階級の人とも平等に接し、みんなから一目置かれていた存在。
ぜひそんな存在になってほしいのです。
では、カーストからはみ出た人になるにはどうしたら良いのでしょう。
カーストからはみ出た人になるためには、
- 自分はどこにも属さない人だと考える
- 階級ではなくありのままの個人を見る
の2つが大切です。
まず1つ目に、自分はどの階級にも属さないと考えましょう。
自分の階級を考え始めると無意識に行動を制限してしまうことがあります。
クラス内の見えない階級制度を感じても、自分はどこにも属さない強い意志を持ちましょう。
他人から見て3軍のような自分であっても、それでも自分は階級に属していないと考えるようにしましょう。
自分の意志が、スクールカーストによる悪影響から身を守ってくれますよ。
次に、あなた自身が他人の階級ではなくありのままの個人を見るようにしましょう。
「Aさんは1軍だから・・・」ではなく、相手が言っていることが正しいのかそうではないのか、相手そのものをよく見て判断するようにしましょう。
この2つを続けていくことで、きっとあなたはスクールカーストからはみ出た存在になれます。
ちなみに、間違ってもカースト上位にはなろうとしないでください。
カースト下位だった人が上位になろうと努力するのは難しいことですし、失敗すると今よりも状況が悪化する可能性があります。
それに、カースト上位もよいものではありません。
クラスの決定権にプレッシャーを感じてしまったり、人格形成に悪影響を及ぼすこともあります。
中学生時代にカースト上位だったことから、高校に進学してからも自分の思い通りにならないと気がすまなくなってしまい、いじめに遭って不登校になってしまったというケースもあります。
スクールカーストは、上位にいても下位にいても救われません。
カースト上位にいることが良いのではなく、カーストからはみ出た存在になるべきなのです。
学校以外の社会を知ろう
子どものころは、学校がすべてだと考えてしまいがち。
ですが、実際はそんなことありません。
例えば、家では二人の娘をもつ「お母さん」でも、会社では「係長」だったり、SNSでは「インフルエンサー」だったりします。
あなたが所属する社会は、学校だけではありません。
それに、学校でつけられている階級が、どこでも通用するわけではないのです。
息が詰まるような学校という社会に縛られず、自分が思い切り活躍できる別の社会を探してみましょう。
習い事でも、ボランティア活動でも、SNSで発信活動をしてもいい。
グローバル社会な現代では、さまざまな世界に飛び込むことができますよ。
ちなみに、現在活躍している芸人さんやアーティストさんには、学生時代は内気でカースト上位ではなかったという人も多いです。
学生時代にカースト上位じゃないと、大人になっても活躍できないわけではありません。
「私なんて、大人になってもずっとこのままなんだ」なんて思わないでくださいね。
閉鎖的な社会から抜け出そう
もう1つスクールカーストのある世界から抜け出したい方にやってほしいのが、とにかく勉強すること。
先ほど説明したように、カースト制度は風通りの悪い閉塞的な社会で発生しやすいです。
カーストのある世界が嫌だと思ったら、とにかく勉強を頑張って大きな社会へ飛び出しましょう。
高校も学習レベルが高い学校は低い学校に比べていじめの発生率が低くなる傾向がありますし、自分と似た感覚の友達に出会える可能性が高くなります。
大学も都心にあるような生徒数の多い大きな大学は、学生同士を認知しにくく、スクールカーストが形成されにくいです。
スクールカーストのない世界は必ずあります。
努力を積み重ねて、広い世界へ出ていきましょう。
自分の目で見る力を養おう
悲しいことにスクールカーストに悩んでいた人ほど、他人を階級で見るクセがついてしまっています。
- カースト上位そうな人に身構える
- 自分が発言するべきでないと考えてしまう
- 自分の印象が悪くなりそうな人を避ける
このようなスクールカーストで覚えてしまった人の見方は、なるべく早く忘れてしまいましょう。
そのために必要なのが、相手を自分の目で見ること。
自分の目でその人をよく見て、仲良くしたい人なのかそうではない人なのか判断しましょう。
そのように自分の目で判断した人間関係を築いていくことで、階級で人を判断するクセがなくなっていきます。
自分で判断した付き合いたい人との人間関係構築を積み重ねていくことでしか、他人の見方を直すことができないのです。
スクールカースト下位のあなたに知ってほしいこと:まとめ
学生時代にスクールカーストに悩んだ私が、スクールカースト下位の方に伝えたいことをご紹介してまいりました。
スクールカースト下位の方に伝えたいこと
- カーストからはみ出た人を目指そう
- 学校以外の社会を知ろう
- 閉鎖的な社会から抜け出そう
- 自分の目で判断できる力を養おう
人によって、悩むレベルが異なるのがスクールカースト。
大人になっても当時のことを笑って話せる人もいれば、私のように嫌な思い出として心に残っている人もいます。
恥ずかしながら私は、長い間学生時代のスクールカーストからずっと抜け出せないままでいました。
すぐに「私に発言権なんてないし」と思っていたし、自分の評価が下がりそうな人と仲良くしないようにしてしまったことも・・・。
実際にそんなことを続けた結果、私にはうわべの人間関係ばかりで本当の友達ができませんでした。
ですが、自分の過去と真剣に向き合い、スクールカーストについて学ぶことで、このままでは自分はダメだと思えました。
みなさんもスクールカーストで身につけてしまった価値観を放棄し、スクールカーストから卒業しましょう。
みなさんが自信を持って、素敵な人間関係を築いていけることを祈っています。
今回の記事は、鈴木翔さんの『教室内カースト』を参考にお話ししました。
本書ではさらに詳しく、スクールカーストについて学ぶことができます。
現在、スクールカーストに悩んでいる方も、かつて悩んでいた方にも、ぜひ読んでいただきたいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。